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「ただいま戻りました!」
家に帰ると、小さな塊2つが膝付近に突進してきた。
「「おかえりなさい、お姉様!!」」
キラキラした瞳でわたしを見上げるのは
わたしの弟妹、ヴェルデとイリス。
先日、6歳になったばかりなの。
わたしは可愛い弟妹達を抱きしめる。
「2人とも、いい子にしてた?」
「うんっ!」
「はいっ!」
2人の頭を撫でていると、「あっ」という
声が聞こえた。
「お嬢様! お出かけになられる際は
私共にひと声かけてくださいと
いつも言っているじゃありませんか!」
ローレンが腰に手を当ててお説教モードに入る。
「え、えへへ。ごめんなさいローレン
つい忘れちゃって……」
「まったく……お嬢様は貴族令嬢です。
何かあってからじゃ遅いんですよ」
「次から気をつけます!」
そんなローレンから逃げるようにわたしは
双子を連れて玄関をあとにする。
「おかえりなさい、ヴァイオレット」
おしとやかに微笑むお母様。
お父様もわたしを見るとぱぁぁぁっと
顔を輝かせ頬ずりをしてくる。
「おかえりレティ! 愛しい娘よ!!」
「お父様痛いです」
髭のジョリジョリは子供にとっては凶器だ。
「お父様っ!私にも!」
ヴェルデがお父様にねだり、すりすりされている。
なんとも平和な光景……。
「じゃあ僕はお母様を独り占めします!」
イリスはお母様の膝の上に座り、甘えている。
くっ、可愛すぎるっ!
こんなに可愛い双子がいるのは
我が家だけではないでしょうか。
「あっ! イリスずるいっ!」
「ぐふぐふふふふ」
お父様が今にも溶けてしまいそうな幸せそうな
顔をして笑う。
お父様は家族大好きだからね……。
あ、もちろんわたしもだけど。
〈わぁ、アルフレッド気持ち悪ーい〉
ちょっとセレニテ!!
人様の父親を気持ち悪いって言わない!
「お姉様、フロルお姉ちゃんの相談って
何だったの?」
ヴェルデが大きな瞳をわたしに向けて
首を傾げます。
かわゆす。
「あぁ、実は……」
ハッ、待てよ。
勝手にフロルちゃんの恋愛事情を話しても
良いものかな?
「……乙女同士の秘密っ!」
わたしは人差し指を唇に当てて悪戯っぽく笑った。
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