屋敷の外に出たい!

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屋敷の外に出たい!

お父様に「危ないからしばらく外に出てはいけないよ」と言われて一週間。 わたしは、机にうつ伏せになって木目をなぞっていた。 暇だ……。 図書館の絵本は読んでしまったし、お父様もお仕事で、お母様はお茶会に出かけてしまった。 ルイス先生も今日はお休みだし。 はぁ、闇の魔力を持つって面倒だなぁ。 そのせいで屋敷から出られないなんて。 フロルちゃんにも会いに行けないし。 下手すれば一生屋敷の中ってことも……。 嫌だ! お父様とルイス先生は過保護過ぎるんだよ! そうだ、コッソリ会いに行くのはどうだろう。 幸いにもお母様は出かけているし お父様はお仕事中。 ニヤリと心の中でほくそ笑む。 「ちょっと図書館に行ってきますね!」 わたしはメイドのリナに笑顔で言った。 「あら、もう絵本を読まれたのですね。 分かりました。ごゆっくりお選びください」 ニコニコ笑うリナに罪悪感を覚えつつも 「はい!」と笑い返した。 ◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯ 廊下に出るとわたしは人がいないのを確認した。 よし、誰もいない。 歩き出すと「おや、ヴァイオレットお嬢様」 と執事のローレンの声が聞こえた。 振り返ると、ローレンがニコニコして立っていた。 「どちらに行かれるのです?」 笑顔が怖い。 「ええっと、ちょっとお外に……」 「お嬢様、旦那様からも言われましたでしょう。 外は危険です。」 わたしは俯いた。 「ごめんなさい……」 「でも、一週間も家から出られないなんてつまらないです!フロルちゃんとも遊びたいのに」 わたしは頰を膨らませた。 ローレンは苦笑いを浮かべている。 「そうですね。お嬢様の年齢で遊ぶなと言う方が無理です。しかし、旦那様からきつく言われておりまして……」 「どーしてもダメですか……?」 わたしは瞳を潤ませ、ローレンを見上げる。 ローレンは「うぐっ!」と心臓を押さえる。 ふふふ。幼児の可愛さは世界一ですからね! 「し、仕方ないですね、少しだけですよ」 ローレンはデレデレっとした顔になる。 「わーい!ありがとうございます!」 わたしは嬉々として玄関の扉を開けた。 「行ってきまーす!」
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