白き令嬢を妬む者

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白き令嬢を妬む者

「あー、楽しみだなぁ。アリス様の 誕生パーティー!」 わたしはふふふと笑った。 「お嬢様、それは何よりですが 勉強をおろそかにしてはいけませんよ?」 ルイス先生が苦笑する。 わたしは誤魔化すようにえへへと笑い頷いた。 今は、国の歴史についてルイス先生に 教えてもらっている。 前世と違う国の歴史にときめきを隠せないよ。 もしかしたらわたしは歴史が好きなのかも。 「それにしても、本当に大丈夫ですか? オリヴィア大公爵家へ行くなんて」 ルイス先生は心配そうに眉を八の字にする。 お父様といい、ルイス先生といい心配しすぎだよっ。 「ルイス先生、心配しすぎですよ! 私はもう十歳。大人へと近づきつつあります。 心配は無用です!」 胸を張るとルイス先生はますます 心配そうな顔になった。 もうっ過保護ですね! 「ルイスーっ!!」 お父様がばぁぁぁんっと私たちのいる部屋の 扉を開け放った。 「勉強はもう終わりの時間だぞっ! さっさと帰れ!!」 お父様…。 ルイス先生が来てからいつもこうなんだよね。 「ごめんなさいルイス先生。いつもいつも…」 「気にしてませんよ、もう慣れましたし」 爽やかに笑うルイス先生。 ルイス先生が慣れるほど毎回、 授業が終わる時間になるといつも 突入してくるお父様って一体…。 「では、授業は終わりにしましょうか。 お疲れ様でした」 「はい。今日もありがとうございました」 ルイス先生が帰っていくのを見届けると わたしは軽くお父様を睨みつけた。 「お父様、親バカにも程がありますよ。 私まで恥ずかしい思いをしました」 「うっ、ごめんよレティ。でも心配なんだよ〜」 「まぁ、アルフレッド、   わたしのことは心配じゃないの?」 反対側のソファーに腰掛けた お母様が悲しげな顔をした。 「まさかっ。そんなはずないよ!いつも 君のことを心配しているよ。君はとても美人だから 誰かがイザベルを攫っていくんじゃないかってね」 「まぁ、アルフレッドったら。 わたしだって心配してるわ。あなたが出かけていくとき どこぞの令嬢があなたを誘惑してしまうかもって」 完全に二人の世界に入ってますね。 私は遠い目で二人を見つめる。 イリスとヴェルデはお昼寝をしているので この場にはいない。 ボスとセレニテも双子の近くにいる。 寝顔が天使みたいなんだよねー うふふ。 「レティ、大公爵家には、私たちも行くけど 充分に気をつけるんだよ。レティには 闇の力があるんだからね」 お父様の緑柱石の瞳が不安げに揺れたのを見て 私はにっこり笑った。 「安心してください。 お父様とお母様を心配させるようなことはしません。 それに、当日はセレニテとボスも ついていてくれますから」 「えぇ、そうね。レティはとても強いもの。 きっと大丈夫よ」 お母様が私の横に座り優しく頭を撫でた。 あぁ、幸せだな。 わたしはお母様に抱きつく。 この幸せがずっと続いたらいいな。
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