7歳

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7歳

「お母様ー!本を読んでください!」 私は窓辺に座り、紅茶を飲んでいる黄金の髪に紫水晶(アメジスト)色の女性に駆け寄った。 私のお母様、イザベル・アゼリアだ。 「うふふっ、いいわよ。何がいいかしら?」 「『赤薔薇姫』がいいです!」 わたしが元気良く言うとお母様が本棚から 絵本を取り出して朗読してくれる。 陽だまりのような優しい声に わたしは安心感を覚えた。 どうも、7歳になりました。 ヴァイオレット・アゼリアです! 7歳になって、知ったんだけど お父様は公爵で、お母様は公爵夫人らしい。 だからわたしは公爵令嬢。 つまりは貴族!! それを知ってびっくりしたよ。 なにせ、前世ではお金持ちとは程遠い 人生だったからね。 しかも、わたしの容姿は超絶美少女!! ツインテールにした綺麗な銀髪を背中まで伸ばしていて紫水晶色の瞳。幼いながらも綺麗な 顔立ちをしている。 最初は鏡の中の自分に見惚れていたけど、 だいぶ、この容姿にも見慣れてきた。 「こうして、王子様と赤薔薇姫は幸せに暮らしましたとさ」 お母様がパタンと本を閉じる。 「とても良かったです!」 お母様の朗読に拍手しようとした瞬間 ドアが勢いよく開き緑柱石色の瞳に銀髪の男性が飛び込んできた。 そして、抱きしめられる。 「レティ!!会いたかったよぉぉ!」 「もう、お父様ってば」 わたしはそう言いながらもお父様を抱きしめ返す。 そう、彼はわたしのお父様 アルフレッド・アゼリア公爵なの。 「アルフレッド様、自宅で仕事なさっていたのですからお嬢様に会えたでしょう。何度か奥様とお嬢様をこっそり覗き見していたのですから」 執事のローレンが言う。 「えっ、お父様覗き見していたんですか!」 お父様から体を離して見つめるとお父様はギクッと なった。 「い、いや見てない!見てないよ!」 お父様が慌て出す。 「いいえ、ガッツリ見てました」 ローレンが真面目な口調で言い、 お母様がくすくす笑う。 「もうっアルフレッドったらそんなに娘に会いたかったのね」 「お父様ってば、お仕事ちゃんと しないとダメですよ!」 頬を膨らませる。 「だって〜仕方ないじゃないか!こんなに可愛い娘と妻だもの」 お父様がジョリジョリした顔をわたしに擦り付けた。 「痛いです、お父様」 「あらあら」 お母様が可愛い娘と妻という言葉に頬を赤らめた。 そういえば、この世界で、わたしは友達がいない。 うーん、どうにかして友達を作りたい。 「お父様、わたしお友達が欲しいです!」 にっこり笑うとお父様が衝撃を受けたような顔になった。
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