魔法

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魔法

「レティちゃん、何して遊ぶー?」 フロルちゃんが目をキラキラさせながら聞いてくる。 ここはわたしの家。 あれからフロルちゃんとすぐ仲良くなって 特別にお屋敷に入れてもらったの! そして今日のフロルちゃんも可愛い!! 「じゃあ、人形遊びはどう?あ、でも人形がないね」 人形らしきものがないかと、キョロキョロすると フロルちゃんが「無いなら作ればいいよ」 と微笑んだ。 「作る?!人形を作るのって手間暇かかるよ?」 そう言うとフロルちゃんは「大丈夫だよ」と 微笑んだ。 目を閉じて願うように手を組み合わせる。 「可愛いお人形ができますように!」 そう詠唱すると何も無い空間から光が現れ 人の形に変わっていく。 わたしはその光景をあんぐりと口を開けながら見ていた。な、何これ! 光が消えるとそこにはフロルちゃんによく似た手のひらサイズの人形があった。 「えぇぇーーーーっ!い、今何したの!?」 驚く私にフロルちゃんは目を見開いてる。 「えっ、レティちゃん、もしかして 魔法知らないの??」 魔法!? 「この世界には魔法があるの?!」 魔法があるなんてまるでファンタジーだ。 「もちろん、あるよ。今のも魔法。 町の人は大抵魔法が使えるよ! 試しにレティちゃんも人形を作ってみなよ」 「で、でもやり方がわからないよ」 戸惑いながら告げる。 「頭の中で人形をイメージするんだよ。そして詠唱して魔力を空気中に出すの。」 わたしは頭の中で自分の人形をイメージして 「わたしの分身現れろ!」と唱えた。 でも、人形は現れない。 どうして? ちゃんとイメージして唱えたのに。 ちょっとガッカリ。 その後慌てたフロルちゃんがわたしの人形を魔法で 出してくれた。 後から聞いたのだけどフロルちゃんは 平民の中でも魔素を集めやすい体質らしく 高魔力を持っているらしい。 平民で魔力が高いのは稀なことだと お父様が言っていた。 凄いわ。 それに比べてわたしは魔力を使えない。 二人で遊んで楽しかったけど、わたしは気づいた。 わたしはあまりにもこの世界のことに無頓着 だったの。 誰かにこの世界のことを教えてもらって 魔法も使えるようになりたい。 家庭教師 その言葉が頭に浮かぶ。 「お父様!わたし、家庭教師が欲しいです!」 わたしはお父さまの仕事部屋の扉を開け放ち 声を上げたのだった。
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