第一章 日常

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第一章 日常

電話の音が鳴りやまない。 五コール以内に出なければならない。 手当たり次第、電話を掛けなくてはならない。 今日もいつものように罵倒が飛んでいる。 ここでの挨拶は「オッス」だ。 毎朝、会社に来たら、まず朝礼で一人一人声出しをしなければならない。 まさに時代遅れの体育会系だ。 しかし、これがいつもの俺の会社の日常である。 ノルマを達成しなければ、また上司からどやされる。 もう罵倒される事は慣れてしまったが、いい加減溜まりに溜まったストレスが満タンになり爆発しそうだ。  俺は電話番号を確認し、電話を取り、ダイヤルを押した。 ・・・・・二十秒経った。 出ない。 恐らく、フリーダイヤルで向こうにばれたのであろう。 俺は諦めて電話を置いた。
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