平安時代

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平安時代

「クスクス」  田舎町の図書館で借りてきた、表紙が厚紙の本を読みながら笑っている娘。 ── 度々登場する星の娘はネタにしやすいので、今日も登場する ── 「それ小説? そんなに面白いの?」 「うん、古文のテストで良く出題されるから」 「古文を読んでんの?」 「虫が好きな女の子の話。めっちゃ面白いよ!」 〈古文とナウシカ……どんな本なんだ?〉 「タイトルは?」 「(つつみ)中納言(ちゅうなごん)物語」 「でた! なごんっ。平安か!」 「そうそう、平安時代の小説。『虫()づる姫君』の話がウケるの」  マシンガンのような文学愛演説が始まる。次から次へと教科書には載ってない小話がでるわでるわ。終いにはお歯黒と墨入れ眉毛の話までいった。  理系だった星にとっては何一つ初耳の話ばかりである。ただ娘の説明は分かりやすい。分かりやすいように現代の日常ことばに変換して喋ってくれる。そして聞いていると面白いと思える。 「分かった、もう分かったから。現代でも通用するぐらい面白い話なんだね。それが千年前に書かれてたって凄いな」 「でしょぉ! この時代の中国はさ……」 〈おい、まだ話すのか!〉 今日はここまで🙋‍♂️ 2022.3.22
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