ヒーローになりたかった黒猫

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 オレは母さんと父さんの顔を知らない。  気付いた時から独りぼっちだった。  いや、正確に言うとオレのように身寄りのない『ノラねこ』と呼ばれる仲間たちと細々と暮らしていた。  一緒と言ってもただ利害一致の共存だけ。  みんな自分一匹が生きていくのに必死で、たまたま運がよくご飯が多く手に入れば分けてもらえるという生活だった。  いつもお腹を空かせていたし、冬は寒くて夏は熱くて、今思えばいつ死んでもおかしくはなかったと思う。  そんな日々が変わったのは、『ノラねこ』の住む場所で火事があったあの日。  オレをあるヒーローが助けてくれたのだ。  薄茶色の汚れた色をしたネコのヒーロー……あとで知ったのだが、おそらくそれは伝説の『にゃんこ戦隊ネコナンダー』の一匹だったらしい。  あの時からオレはずっと同じヒーローになることを夢見ていた。 『誰かを助けたいという気持ちが強ければキミだってヒーローはなれる』  その言葉をずっと信じて…… 
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