ヒーローになりたかった黒猫

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 今の仕事も悪くはないと思う。  結果的に誰かを助けているのだから。  でも、オレがやりたかったのはにゃんこ戦隊のように多くを助けるヒーローの仕事。  そのためにいろんなヒーロー事務所の面接をうけたけど、いつも答えは決まって一緒だった。 『申し訳ないけど、黒猫はヒーローにはなれないんだ』  試験まで受けさせてくれる所はまだいい。  場所によっては書類審査で、落とされてしまった。  何か所か受けて、『やる前からできない』ことに気付いたのは、いつ頃だったろうか。  唯一、この『トンチンカン一味』だけはオレの話を聞いて仲間に入れてくれた。  だけど今の仕事は生ぬるい。  本当はもっと大きなことをやりたいをやりたいと頭領に言ってみたのだが。 『本当に救ってあげなきゃいけないのは心だよ』  返ってきたのは質問からは程遠い答えだった。  トントン母さんの中では話がつながっているようだが、オレには全く理解が出来ない。  仕方がないので、いつか本当のヒーローになるための下積みだと言い聞かせてやってきた。  なのにウサビロウのあの言葉はなんだ。  なんの根拠もない自信とヒーローを侮辱するような言い方。  ―――『やる前からできない』ことはあるんだ。  ヒーローのことも  オレのことも  何も知らないくせいに……
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