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フレイは懐から短剣を取り出し、器用に縄を切る。
俺はすぐに手足が自由になった。
「体は大丈夫か。こいつらになにをされた」
服のあちこちが破れている俺の方に、フレイは自分の上着をかけた。
だが俺はその上着を床に投げつけた。
「なんで助けるんだよ……二年前は俺を捨てたくせに、何で助けに来たんだよ!」
「シーシャ? どうした。俺になにをして欲しいんだ」
フレイは眉を下げて俺をまっすぐに見つめてくる。
胸の奥からモヤモヤが溢れ出して止まらない。
なにもかも理解できない。
「お前は俺なんてどうなってもいいんだろ。気まぐれに捨てたり助けたり、あんたはいつも自分勝手だ」
「悪かった。二年前も助けてやりたかった。本当は君を突き放すような言葉なんて言いたくなかった。ずっと一緒居てほしかった」
フレイは俺の頬に手を伸ばして優しく撫でた。
「でも私が君と仲がいいと知られたら、弟のスルトが君に危害を加えるだろうことはわかっていた。それでもギリギリまで君を手放せず、あんな事態にまで発展してしまった」
「……嘘だ。それが本当ならまるで、フレイが俺のこと好きだったみたいじゃないか」
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