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すると男たちは口を閉じ、不満げな顔でどこかへ去っていった。
「シーシャも早く後宮に戻れ。気をつけるんだぞ」
俺はそう言って背中を押してきたフレイの腕を掴み、背伸びした。
高い位置にある彼の唇にキスをして、耳元に囁く。
「なんだよあの犬ども。俺は先輩のご主人さまなのに、随分と反抗的だったぞ」
「あとで指導し直しておく」
「今度あんな目で見てきたら、俺が先輩をお仕置きしてあげる」
俺はフレイの腕を放して彼に背を向けた。
「またね、俺の奴隷くん」
再び先ほど来た道を戻っていく。
きっとすぐに後宮まで大量の品物が届くことだろう。
ある日、俺は後宮に飾る新しい花を手に王宮を歩いていた。
すると遠くにやたら背の高いキラキラ集団がいた。
フレイが団長を務める第一騎士団のメンバーたちだ。
今日はフレイの姿は見当たらない。
彼らは廊下の隅でなにやら喋っていた。
「フレイ団長、大丈夫かな」
「国王からの呼び出しだろ? まさかあのひょろい文官のことで怒られてるんじゃないか」
「最近の団長、あいつのことばっかり構って仕事も後回しだし、婚姻も断っているらしいぜ」
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