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「ああ、好きだった。ずっと君が好きだったよ、シーシャ」
そう言って、フレイは俺の顔を覗き込んだ。
「君はどうなんだ。俺のこと嫌いか、憎らしいのか、本音を聞かせてくれ」
どうして答えが嫌いと憎らしいの二択なんだと思いながら、俺はうつむいた。
「俺は、フレイのことが……」
途中で言葉が喉に詰まる。
言いたいのに言えない。
俺はなんて意気地なしなんだろう。
思わず涙が溢れ出した。
突然泣き出した俺に、フレイは動揺して俺の体を抱きしめた。
「ゆっくりでいい。どうか答えてくれ」
何度も彼は俺の背中をなだめるように撫でた。
これじゃまるで、ぐずった赤ん坊みたいだ。
「俺は……いい加減わかれよ!」
どうしても好きと言えず、やけっぱちでフレイの頭を掴んだ。
そして彼の唇に口づける。
不意打ちに目を丸くする彼の反応がおかしくて、ようやく俺はその言葉を言う勇気が出た。
「好きだよ、フレイ」
俺の言葉に、今度はフレイがポロポロと涙をこぼした。
「なんでお前が泣くんだ!」
「すまない……」
まさか彼が涙を見せるとは思わず、俺も動揺してしまう。
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