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フレイは泣きながら再び俺の体を抱きしめた。
「愛してる、シーシャ」
「……俺も、愛してる」
今度は俺が、泣き止まない彼の背中を何度もさすってやった。
結局、同盟国への婿入りは第二王子が行くことになった。
王位継承権第一位である第二王子が他国へ旅立つことになり、フレイは次期国王に繰り上がった。
第二王子の悪事に加担していた騎士たちは全員まとめて極寒の東部地方開拓団送りにされた。
彼らは二度と王都に戻ってくることはないだろう。
そして俺といえば――。
「フレイ、今日の夕飯は何だ?」
「焼き魚とスープだ」
仕事中にたまたまフレイの執務室の近くを通ったので、ついでに彼の顔を見に行った。
すると執務室に居合わせた騎士団員たちは口々にはやし立て始めた。
「また嫁さんが来たのか」
「団長は愛されてますね。毎日仕事を見に来てくれるなんて」
「俺も結婚しようかな」
今ではすっかり騎士団の公認カップルである。
「しかし団長、子供はどうするんです? 次期国王なのに」
「今年生まれた弟に任せるしか無いな」
フレイは笑いながら言った。
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