序章 影狩の夜に

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「はいこれ!さっさと目を通して!」  私は、志築に向かって、乱暴に一枚の真っ白な紙を突き出す。今夜の狩りの指令書だ。さっきまで減らず口をたたいていた志築が、真剣な顔をして、少しだけ黙る。 「なるほどねー。……全部で影三つって、とこかな。できるなら一つに閉じ込めたいけど『御印(おしるし)』のキャパオーバーかな?」 口元に、右手をあてながら、こちらに目線だけ向けてくる。  「今日持ってきた『御印』は二つ。一つは、大きめにはしたけど、影が入り切るかはわからない。影の質量によるかな。」 サイコロ状の大小二つの石を右掌に乗せて志築に見せてやる。 『御印』と呼ばれる真っ白なそれは、一面一面に梵字が刻まれており、この中に狩った「影」の最終形態『(たま)』を封印する。 影狩師は影を狩れるが、『珠』となった影を「封印」することが。 この『珠』を封印するには、特殊な血筋が必要だから。
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