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累の機嫌が直ったのをみんなも察知したのか、車内の空気が軽い。
「そういえば、千紗も僕たちと同じ経の学院だったよね?」
「あぁ、お爺さまに話しておいた。」
「千紗の高校からお礼をされたという話でしたよね?」
「あぁ、この話して良かったのか?累?」
「あや、喋りすぎだ。」
「あ、すみません。」
「ちょっと待って、経くんのってどう言う意味…?僕たちとおなじ…?嘘でしょ?」
「俺は3年も自由を与えた、その先は俺が決めて当然だ。」
「どういう…。」
「累に頼まれて。すぐに千紗の居場所は調べをつけましたが、君のお母様に聞いたんですよ。累に見合うようになりたいと。ですから、累は高校卒業まで待ったようですね。」
累はずっと僕のことを諦めてなかった。
ずっと知られていたなんて。
「経を千紗の学校に行かせるように進路指導を頼んでもらった。」
「先生…。違ったんだ…。」
先生の言葉は嘘だった。「伊高のことを考えて、合う大学を見つけたから受けてみないか?」僕のことなど1ミリも考えなかった。
「入試問題…も?」
「僕の知らない間に3人ともそこまでしてたんだね。」
「俺は入試問題まで口出ししてない。」
「もちろん私も。」
「あぁ、それはお爺さまが点数が悪いのに入れるのは難しいと言ったから千紗のだけ簡単にして配ってもらった。」
おかしいと思ってた、過去問より簡単だから。気付けたかもしれないのに。
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