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このままだと何をされるかわからない。
助けを求めて綾くんに目線を送る。
「累がこのままだと暴走しそうなので、早めですが出ましょう。」
「そうしよう、僕もちょうど買い物したかったし。」
「では、決定ということで。累、準備してください。」
「はぁ、わかったよ。」
「千紗、お出かけ行くからこっち来い。」
「うん。」
散歩が大好きな犬のようにお出かけという単語に反応してしまった。
また、エレベーターに押し込まれる。
ロビーに着く間に逃げる暇はないかと考えてみる。
そもそも、車移動で走って逃げることは無理だ。ななちゃんは買い物に行くと言っていたけれど、庶民が行くショッピングモールのような人混みには行かないだろう。
累から逃げるなんてもう二度と不可能ではないか…。
「はぁ…、どうしよ。」
「いいよ、逃げても。俺は千紗とのおにごっこ好きだから。」
「っ…。」
「もちろん、俺がおにで千紗のこと捕まえるから。あ、でもおにごっこは檻に閉じ込められないか…。」
「檻に入れたいのならケイドロまたは、ドロケイですよ。」
「あー、じゃそれで。」
「楽しみだな、千紗?」
まだ、だめだ。累の警戒心が強いから今じゃない。昔のように、累の隙を見つけないと。
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