99人が本棚に入れています
本棚に追加
車に乗っても累は離れてくれなかった。
「で、どこ行くんだよ?」
「七星が買い物に行くと言っていたので、七星の行きたいところにしましょう。」
「んー、ブランド回るの面倒だから百貨店がいいかな。」
「そうですね。では、霧島家のコンシェルジュは呼んでもらうとして、累と経はどうしますか?それによって連絡内容が変わるのですが。」
「俺はいい、買い物はななに任せる。」
「俺のところも呼んでくれ。」
「わかりました。」
庶民にはコンシェルジュなんてものいない、ななちゃんは入学祝いにいっぱい買おうねって言うけど高級品を貰っても気が引けるだけなのに…。
「千紗」
名前を呼ばれて累の方を見ると累の手が僕の首にかかる。首を絞められる。怖くて身体の血が抜けていくような感覚になった。
「…っるい?」
「チョーカー買おうと思って、首輪でもいいけど。」
累の手がパッと離れて、累が怒っていないことに安堵した。
「それ、いいかも!千紗はネックレスってタイプじゃないから。でも首輪は可哀想だよ…。ね?」
「だから俺に聞くなって。」
「では、私以外は買い物していてください。」
「あやは何するんだ?」
「累しっかりして。あやの名前でスーツ頼んでたでしょ?」
「あー、そういえば。」
「あ!経もあやと一緒に行ってきたら?どうせ暇になると思うしね。」
「あぁ、そうする。」
本当は僕も綾くんについて行きたかった。累といるより怖くないから。でも累が許してくれる訳がなくて、腰に回っている手に力が込められて、僕を離してくれない。
最初のコメントを投稿しよう!