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よくわからないまま、撮影会は終わった。
ななちゃんはSNSにあげようと意気込んでいた。
さっきまでいたカメラマンもヘアセットをしてくれた人たちも、気がついたらいなくなっていた。
「はぁ、早く脱がしたい。」
「そのような発言は控えてください。」
「目の前に千紗がいるのに、それよりあやの子犬は呼ばなくてよかったのか。」
「子犬呼びはやめてください。智也という名前があります。」
「で、そいつは?」
「今日は友人と一緒だと聞いています。」
「浮気してたりして。」
「私は累と違い束縛はしません。まぁ、浮気をさせるほど緩くもありませんが。」
綾くんに恋人が…。僕も友達と出かけたりしたい。綾くんの恋人が羨ましい。
「千紗には俺だけで充分だろ、どうでもいいこと考えるなよ。」
スーツの擦れる音と共に腰に手が回った。
「そろそろお腹減ったよね?」
「あぁ。」
「累が千紗のために貸切にしたので、楽しみましょう。」
このホテルは累のところのホテルみたいだ。
やっぱりここに居たくない。この4人とは住む世界が違う。僕の居場所はここじゃないのに。
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