本編

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「3年間ありがとう!また遊ぼう!」 「うん!すぐ連絡するよ!」 「うん!」 「千紗、卒業おめでとう。」 大きな花束を持って現れた、もう会わないと決めたはずなのに。 「っ、どうして…。」 「累が迎え行けってうるさくてね、行こうか。」 「ななちゃんっ!僕は行かないよ…。」 「千紗…。僕にも会いたくなかった?」 そんな聞き方ずるい。行きたくない。走って逃げたいのに身体が思うように動かない。 「なな、累が遅いって。」 「きょう…くん…。」 「千紗、久しぶりだな。卒業おめでとう。」 経くんもいて、もう聞かないと思っていた名前を言った。 これは最悪の再会だ…。 僕の卒業証書やカバンをサッと持ち、前を歩いていく経くん。 その後ろをななちゃんの隣で進んでいく。 腰に手を回されて、華麗なエスコート。 「千紗様、ご卒業おめでとうございます。」 運転士に頭を下げられ、車の扉が開いた。 「ほら、乗って。」 言われた通りに乗り込んだリムジン。 車中にはいつもの位置に綾くんと累がいるのだ。 「千紗久しぶりですね。元気そうで良かったですよ。」 「千紗、やっと会えたな。」 爽やかな微笑みの綾くんと真顔の累。 「千紗、俺が話しかけいるのに返事もできなくなったか?」 「しっかり教えたつもりだったが1からやり直し…か。」 声を出したいのに、喉も閉まって唇が震えてくる。累は相変わらず僕に恐怖しか与えない。 この日から僕の時間はあの頃に巻き戻った。 そして、自由だったはずの羽は切り落とされた。
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