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そして僕が中学生になる年の春祭り。
父を驚かせようと出た合唱はいい思い出になった。そして、また思い出を作ろうと春祭りに来たのだ。
父は赴任先で好成績を上げ、そのまま支社を任されることになった。それを機に母と僕も向こうに行くことを決めたのだ。
「次、春祭り来れるのいつだろうね。」
「そうね〜長いこと来れないかもね…寂しいけど。」
「うん…そうだね。」
「千紗はお友達とも離れるしもっと寂しいわよね…ごめんね。」
「お母さん、僕が決めたことだから、謝らないで!」
母と3年前のことを思い出しながら歩いた。
「見つけた。」
その時、目の前に現れた青年が言った。
「えっ?」
「3年前、手に入れるって決めたから。」
「何を…ですか?」
「こっち来い。」
手を引かれ連れていかれたのはお祭りの本部として使われている会館だった。
急に連れて行かれた僕を追いかけて母も来ていた。
「早瀬、見つけたから手配しろ。」
「承知しました、累さま。」
その時、初めて累と言う名前を知った。
会館では累が僕を気に入ったことと、僕ら家族を勝手に調べたことを早瀬さんから説明され、詳しく話したいと車で累の家に案内された。
歩いて10分はどの距離の坂を車で登って行った。
累の家に着くと僕は累の部屋に案内された、お茶とケーキを出されてすぐに青年3人が入ってきた。それが綾くん、ななちゃん、経くんだった。
僕がケーキを食べながら4人に質問責めされている間に母はどんな話がされたのかは知らないが、その日に僕だけが日本に残ることが決まった。
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