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そして、今。
行くはずだったクラスの打ち上げは勝手に欠席連絡をされ、僕は累の隣で怯えることしかできない。
「あや、頼んでた件どうなった?」
「あぁ、もう手配済みですのであまり暴走しないでくださいね。」
「それは千紗次第だ。」
その長い指はゆっくりと握られ、累と僕の間に勢いよく振りかざされた。
一瞬の出来事が頭の中でスローモーションになって再生される。
「俺は脚なくてもいいと思ってるけど、みんなはどう思う?」
「さぁ?私的には彼シャツをさせた時の脚がエロいと思うのでないと困ります。」
「じゃあ、経は僕の脚好き?」
「…まぁ、ななの全部が好きだから。」
「で、千紗はどう思う?」
ゆっくりとこちらに向いた目線。
目に涙が溜まり累がボヤけていく。
「あっ…あし、脚ないと、」正しい答えを出さないと。カラカラの喉から声を絞り出す。
「脚ないと、るい、累と、きっキスするの大変になっちゃう…。」
「んっ、…ぁ。」
「確かに、これ以上身長差ができたら俺の首が可哀想だ。」
累の機嫌が良くなったことに安心したのか、久しぶりのキスにびっくりしたのか、冷え切ったはず僕の身体に体温が戻っていた。
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