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自分が作ったと思った道はすでに整備されていたなんて。
ショックでぼーっとしてい、気が付いた時にはあのマンションの前だった。
「千紗、家に帰ろう。」
「…ちがっ、僕の家じゃない。」
わかってる。抵抗しても無駄だって。わかっていても涙と身体の震えが止まらない。
「お仕置きされたいか?」
耳元で囁かれた言葉。
一気に身体の力が抜けた。
累は僕の腰に手を回し、グッと力を込めた。
脚が思うように動かない僕を無理やり歩かせる。周りには歩けない僕を介護しているように見えるのかマンションのコンシェルジュが車椅子がいるかと尋ねてきた。
累は必要ないと言ったが僕は欲しかった。累の手の中で丸まっている自分にはなりたくないのに…。
エレベーターに乗っている間、ななちゃんは僕と買い物に行くのが楽しみだと言ってくれたがそんなもの行きたくない。
高級店ばかりに連れて行かれ、似合いもしないものを買い与えられる。
僕は違う世界の住人だと言いたい。
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