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「随分横暴な取り調べだな」
「いいから早く答えなさい!」
女は格子から手を離すと、拳銃を両手に持ち替えた。
明らかに異様なことが起こっているのに、2人の看守は俯いたまま、動こうとしない。
「じゃないと撃つわよ……!!」
「―――――」
八雲は立ち上がらないまま首を傾げて女の銃口を眺めた。
「嘘だ」
「嘘じゃないわ!本当に撃つわよ!」
女が安全装置を外す。
「―――そうじゃなくて」
八雲は立ち上がると、格子の間から腕を突っ込み、その銃口を指で塞いだ。
「これ。本物じゃねえだろ?」
「――――!!」
女は悔しそうに八雲を睨んだ後、その拳銃を力づくで振り払うと、二、三歩、後方に下がった。
「素直に応じれば何もおとがめなしで許してやろうと思ったのに」
そう言いながら、看守のデスクを振り返ると、男たちは俯いたまま、腰に手を入れた。
「こちらはどうかしら?」
男たちは腰から下げていた拳銃を両手で持つと、安全装置を外した。
「―――看守は拳銃なんて持ってないはずだぞ」
八雲は片眉を下げて笑った。
「そうよ。でも今私が聞いていることはそこじゃない」
女は笑うと、顎を上げた。
「この拳銃は本物かって聞いてんのよ!」
「――――」
八雲は男が持っている拳銃を見つめた。
「―――じゃあ、俺からも質問だが……」
「?」
女の眉毛がピクリと動く。
「その看守たちは、本物だと思うか?」
「――――!」
女が振り返った瞬間、看守の一人が回し蹴りをして女を蹴り倒した。
女性とは思えない機敏さですぐさま起き上がった女は、看守に掴みかかった。
「―――あんた、裏切ったわね!」
その男に襲い掛かる。
「こんなことしてどうなるかわかってんの?」
言いながら警帽をむしり取ると、そこには―――
「あんた……!?なんで!?」
死んだはずの日高が立っていた。
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