4

8/8
前へ
/172ページ
次へ
「あああッ!!!もう無理!!もう無理だってばああああ!」 1時間後、勾留室には、逢束町警察署、経理課長のものとは思えないような悲鳴が響いていた。 「助げでぐだざいいいい!!イカぜでぐだざいいいいい!!」 布団の上であおむけになり、足を大きく開いた小林が、覆いかぶさる八雲に抱きつきながら懇願する。 「もう限界でずうううう!!下半身が、燃えるように熱いんでずうう!!」 「ははは」 八雲はその醜態に笑いながら、汗と涙と涎で濡れた小林の長い髪の毛を掻き上げた。 「イカせてほしかったら言えよ。執行人Xを起ち上げたのは、誰なんだ?誰が主に運営している。関係者の名前、わかるだけ吐けよ」 傍らで胡坐をかいて座っていた日高が慌ててレコーダーを取り出すと、小林に掲げた。 「だめっ、イエ……言えないいいいい!」 「言えるよ。お前は、言える」 八雲は一旦腰の動きを止めながら言った。 「だってお前、その組織に対して今、迷ってるじゃん」 「………!?」 「その組織が正しいことをしてるのかどうか、迷い始めてる。そうだろ?」 「――――!!」 小林の視線が天井を右往左往する。 「安心しろよ」 八雲はその視線を捕まえるべく、小林の顔を両手で包むと、至近距離で見つめた。 「―――もし喋っても、日高がお前を守ってやる」 「!!」 小林は八雲を見つめ、それからゆっくりと日高を見つめた。
/172ページ

最初のコメントを投稿しよう!

503人が本棚に入れています
本棚に追加