503人が本棚に入れています
本棚に追加
「あああッ!!!もう無理!!もう無理だってばああああ!」
1時間後、勾留室には、逢束町警察署、経理課長のものとは思えないような悲鳴が響いていた。
「助げでぐだざいいいい!!イカぜでぐだざいいいいい!!」
布団の上であおむけになり、足を大きく開いた小林が、覆いかぶさる八雲に抱きつきながら懇願する。
「もう限界でずうううう!!下半身が、燃えるように熱いんでずうう!!」
「ははは」
八雲はその醜態に笑いながら、汗と涙と涎で濡れた小林の長い髪の毛を掻き上げた。
「イカせてほしかったら言えよ。執行人Xを起ち上げたのは、誰なんだ?誰が主に運営している。関係者の名前、わかるだけ吐けよ」
傍らで胡坐をかいて座っていた日高が慌ててレコーダーを取り出すと、小林に掲げた。
「だめっ、イエ……言えないいいいい!」
「言えるよ。お前は、言える」
八雲は一旦腰の動きを止めながら言った。
「だってお前、その組織に対して今、迷ってるじゃん」
「………!?」
「その組織が正しいことをしてるのかどうか、迷い始めてる。そうだろ?」
「――――!!」
小林の視線が天井を右往左往する。
「安心しろよ」
八雲はその視線を捕まえるべく、小林の顔を両手で包むと、至近距離で見つめた。
「―――もし喋っても、日高がお前を守ってやる」
「!!」
小林は八雲を見つめ、それからゆっくりと日高を見つめた。
最初のコメントを投稿しよう!