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どうしても卒業したかった。大学に行きたいわけではないけど、高校くらい卒業しておかなければと思った。それから思い出も欲しかった。
高校2年になってすぐ、私は病気になり1年近く入院した。3年になってもう私の席はないかと恐る恐る登校してみたら、ちゃんとあった。私の机があったのだ。
安心して席につき授業を受けた。でも当然の事ながら全く分からない。すると担任の宮原先生が「春日、放課後補習して行くか?」と言ってくれた。
私は毎日補習をする事になった。
みんな帰って誰もいない教室で宮原先生は私だけに教えてくれた。宮原先生はまだ独身で背が高くてスリム。人気俳優にちょっと似てる。結構女子の間では憧れの的だった。そんな先生を私は独り占めしている。みんなにバレたら羨ましがられるだろう。だからみんなには内緒。2人だけの秘密だ。
先生と隣同士の席に座り教えてもらう。先生は一重かと思っていたが奥二重だった。右眉の上にちっちゃいホクロがある。近くに寄らなければ分からない事を私は幾つも発見した。
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