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6話 いざ第13迷宮へ
第13迷宮なら、シュノヴァ中央の巨大転送門から行けばいい。
「わーい! お出かけです!」
グレーのケープを羽織ったリディアが嬉しそうについてくる。簡易転送魔法を発動したニコラスは、「失礼」と言い置いて、2人に触れた。その瞬間3人は、大きな門がいくつも立ち並ぶ場所に立っていた。
「ここが巨大転送門、ブランデンブルク……」
「そうか、リディアは初めてだったね」
ここには各迷宮に向かうための転送魔法が常時展開された門が存在する。攻略者でもなければ来ることがない代物だ。エドナはそれをまじまじと見、今度はニコラスを見て言う。
「さっきの魔法で一気に第13迷宮に行くことはできなかったのか」
「僕が行ったことがある場所にしか行けないんですよ。第13迷宮には行ったことがないものですから」
そう言いながらニコラスは第13迷宮への門に向かう。そして後ろの2人を振り返った。
「じゃあ門を潜りますよ。エドナさん、目的地は分かりますか」
「ああ」
前も言ったように各迷宮は入り組んでいる。目的地が分からなければとてもじゃないが間に合わない。
エドナはこくりと頷いた。
「問題ない」
「じゃあ、行きましょう」
門は虹色の光を放ち、攻略者の来訪を待っている。ニコラスはそれに躊躇なく体を沈める。すると次の瞬間、薄暗い広場のようなところにいた。
土っぽい匂いと、魔物の気配。ニコラスはそれにふう、と溜息をついた。懐かしさを感じてしまうのが空しい。もう一度攻略者に戻りたいとは微塵も思わないが。
「エドナさん、お願いします」
「ああ、こっちだ」
彼女の歩みに迷いはなかった。行く途中に何人かの攻略者や研究者とすれ違う。やはり今魔物の封印が解かれれば、彼らまで死んでしまう可能性が高い。それほどに封印獣は恐ろしいのだ。
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