第3話 過酷な夜

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第3話 過酷な夜

「俺は、あの魔王を殺してやる!!  この手で絶対にな!!」 すっげぇ、生の勇者の迫力やべ~。 「わかりました。  ですので落ち着いてください。  今日はここで休んで下さい。」 「そうよ。あなたは少しは休みなさい。」 「しかし、俺は、あの魔王を倒したい。  今すぐにだ。」 「待つでごわす。ここで戦っても、  返り討ちにあうでごわす。  今日は休むでごわす。」 仲間の巨体の男と、杖を持った少女が、 彼を止めていた。 「……すまない。熱くなりすぎた。  今日はここで休んでもいいか?」 「もちろん、どうぞ。」 勇者達を、部屋へ送り、僕は、 カウンター席へ戻った。 「僕も寝るか。」 「いけません。」 「うおっ!?神様!?」 「寝ては、ダメです。」 「なぜですか?」 「外をご覧ください。」 すると、外にはたくさんの魔物がいた。 「ヤバい、勇者達を呼ばなきゃ。」 「なりません。」 「なんでです!?」 「勇者達は、今体力の回復中です。  起こしては、なりません。」 「ならば、誰が倒すのです!?」 「あなたです。」 ・・・へ? 「僕ですか?」 「そうです。何のための力ですか?」 「そりゃ、宿屋のための──」 「ピーガガ、ありゃ?音声が悪いなぁ?  まあ、頑張ってねぇ。」 「おい!偽神様!!待て!!」 ……音声は切れた。 嘘だろ!?僕が戦えって!? あるのは、木材だけだ。 まあ、無いよりましか。 おもいきって、外へ出た。 「来い!!魔物ども!!僕が相手だ!!」 僕は、叫んだ。 すると、 のそっのそっ。グルルルッッ。 あれ?思ったよりも大きいぞ? 「オマエガアイテダト?」 グルルルっと言ってきた。 「そ、そうだ僕が相手だ。」 「グルルル、ワラワセルナ!!」 魔物が飛びかかってきた。 「う─うおおおお!!」 とりあえず、野球のスイングのように力強く振ってみた。 こんなんじゃ無理だ、と思っていたら。 カキィィン!!!! 「グ──グアアア!!!!」 遥か彼方に魔物が飛んでいった。 なんだ、この力は? 「前にも言ったでしょう。  あなたの特殊能力は、パワーだと。」 え?そういうことなの? 「さぁ、蹴散らしたまえ!!」 「悪の親分みたいだな!!」 ブンッ!! カキィィン!!!! ブンッ!! カキィィン!!!! ノックのように魔物を蹴散らした。 「ハァハァ、でもこれしんどいぞ。」 もしかして、ゲームの宿屋の店主もこんなことやっていたのか? まさか、そんなわけないよね? そんなことを考えながら戦った。 いつの間にか夜が明け、魔物は消えていた。 「ウ──ウオオオオオ!!  終わったーーーー!!!!」 僕が異世界へ来て最初の仕事が終わった。
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