episode.2

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病気を患っているが、恋人はいる。 幼馴染の伊坂 依(いさか より)。 同い年で、恋人。 今年で付き合って5年目。 これからも、ずっと一緒にいる。 そう思ってた。 けどさ、私、多分あと10年も生きられないんだよなぁ... 別に死ぬのは怖くない。 定期的な採血や薬の副作用とかも怖くない。 私が怖いのは、大切な人たちを残してこの世を去る事。 と、病室の扉が開いた。 「実咲ちゃーん、採血の時間だよー」 由梨さんがそう言う。 「分かりました。」 最近、採血増えてるよなぁ、ってよく思う。 それも、きっと私が長くは生きられない証拠なんだろう。 「201」と書かれた部屋のドアを開ける。 ガララッ 「おー、実咲ちゃん。座って、座って。」 「よろしくお願いします、佐伯(さえき)先生。」 この人は、私の主治医の佐伯先生。 小さい頃から、私を見てくれている。 「じゃあ、採血しようか。」 「はい。」 先生が、注射針を出して、私の腕に刺した。 注射針には、私の真っ赤な血がどんどん溜まっていく。 そして、針は抜かれた。 「お疲れ様、じゃああとはまた午後にやるからね。」 「ありがとうございました。」 私は毎日、何回かの検査をする。 まぁ、どんなに検査をしたって治らないんだけどさ。 ほんと、何で私には病気があるんだろう。 お母さんが、私を産むために死んで。 それでも、私は20代に死ぬって、どんだけこの世の中は不平等なのかな。 そう思っていると、ある人に声をかけられた。 「実咲?」 その声の主は。 「笑心(にこ)!」 「棟が違うから、中々会えないよね〜!!私、今たまたまこっちの病棟に来ててさ!」 太陽のような笑顔のこの子は、1歳年上の美咲 笑心(みさき にこ)。 この病院に入院してて、検査の時に倒れた笑心をたまたまそこにいた私が助けたっていうこと。 あと、笑心の名字が「美咲」って言う偶然! そこから仲良くなっていった。 病棟が違うけど、検査のときなどに会える。 笑心も難病の病気を患っている。 治るかどうかも分からないらしい。 そこら辺は、私とは違うのかもしれない。 私は治んないもん。 「...実咲?どうかした?」 「あ、何でも無い!」 「そうだ、実咲って今検査終わったの?」 「うん、さっき採血してきた。」 「じゃあさ、中庭で一緒にお昼食べない?私もさっき終わったとこだから。」 「いいよ、行こ!」
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