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夜廻
辛い。死にたい。
そんな思いだけが空回りしている。
僕は結局どうなりたいのかすらわからず、ただ呆然と空を眺め、ひたすらに歩くだけだった。
時々雨が降っては、僕の心を曇らせていく一方だった。
「なんでこんなに辛いんだろ…」それさえも分からないまま途方に暮れる。
一体どこからおかしくなってしまったのだろうか。考えるだけ無駄だろう。
「どうすればいいんだ」「何を信じればいいんだ」唐突に襲いかかってくる漠然とした不安にはいつまで経っても慣れない。
こういう時は、何事も気が重くなる。ただ周りの景色には目もくれず、一心不乱に家への帰路を急ぐ。
『こんな遅くまでどこ行ってたの?』毎日のように聞くこの言葉。別に心配なんかしなくていいんだって言ってんじゃん。
「別に関係ないだろ?ほっといてよ」「大体、いつまでも子供扱いすんなよ。鬱陶しいんだよ」気づけば本音が漏れてくる。
『子供扱いじゃない、あなたのためを思って…』「何が俺のためだよ、うざいんだよ、そういうの」『ちょっと、待ちなさいよ!』怒りに震える母親には目も暮れず、さっさと自分の部屋へと向かう。
何が俺のためなんだよ、実際は自分がいい親だって見せつけたいだけなんだろう?大人とはそんなに周りの評価が気になるものなのか。出世だのなんだの言うが、結局は自分より下の人間を見下したいが故になのだろう。
「馬鹿じゃねえの、本当に。」どうしてここまで自分を偽ってまで、他人の評価を気にするのだろうか?評価されたところで本当の自分ではないのに。
「はぁ、俺が馬鹿なのかな…」「こんなんで厨二病だなんて…」こんな世の中では、俺みたいな人間は異常として捉えられるようだ。
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