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君は綺麗だ
「ねぇねぇ。蒼真君。蓮君少し借りていいかな?」
「えっ...あっはい!どうぞ!」
「ありがとう。」
「んで?どうしたの?」
「ごめんね、学校まで。」
音羽が少し俯きながら申し訳なさそうにしている。
「いいよ全然。要件は?」
「ほら前にやりたいこと聞いたでしょ?
それで図書館で勉強がしたいって言ってたから今日の放課後なんてどうかなーって思って...」
「あぁー...あったね。わざわざそれのお誘いに?」
「うん!」
「OK。大丈夫だよ。じゃあ放課後図書館で。」
「了解!」
「お待たせ。待った?」
「ううん。全然!」
「早速始めよ。勉強」
「はぁ〜い。」
しばらくすると音羽が聞いてきた。
「ねぇねぇ。この問題なんだけど...どうやって解くの?全くわからなくて...あははー...」
「...あーこの問題はこっちの問題と似てるんだけどこの文章があるからひっかけなんだよねー...えっと...この公式を使って解くと...ほら!できた!」
「なるほど...あはっ蓮君頭いいね〜天才!」
「そっ...そんなことないって。」
「ありがと!」
「どういたしまして。」
勉強している音羽のまつ毛は長く、窓から差し込む少しの光が音羽を照らしていた。その光に反射して音羽の髪、まつ毛がこちらにキラリと輝いている。それは陽だまりが音羽を導いているようだった。
勉強を終えて帰ろうと図書館を出ると、夕日が沈みかけていた。目を閉じていても分かるほどの眩しさだった。それに照らされた君の横顔は、本当に綺麗だった。
「この通学路一緒に歩くの、あの日の夜っきりだね。何か......青春だね(笑)」
「そうだね(笑)」
僕は音羽との時間が、この他愛のない会話が好きだってことに気づいてしまった...。
好きになるな。僕はいつ死ぬか分からないのだから...好かれた側も迷惑だろう。やだ...嫌だ。こんな自分がどうしようもなく...嫌だ。
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