ネズミのトリコ

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「灯里、今日は来てくれてありがとう。」 彼女はとても美しく、透き通った肌で満月のような優しさで小さな牙がある。とても、魅力的で美しい。 「ううん。だって、あっくんからデートの誘いがあるなんて、断れきれないよ。」 そう、彼女はまた微笑んだ。自分も彼女が微笑むと、心なしかとても嬉しい。 だか、彼女はとても不思議なんだ。 出会った日も、満月であり デートの日だって満月なんだ。 いつもいつも深夜の満月にしか 彼女は現れない。 だが、僕は余り気にしなかった。だって彼女といると、とても幸せで考え事なんて、吹き飛んでしまうから。 幸せだった。でもあの日  ー 「失敗しないようにしなくちゃ」 「あっくん?どうしたの?」 つい、言葉に出てしまった。何でもないっと。言って告白の有名スポットに彼女に連れて行った。 いつも満月の光で君を照らされていた。だから、明るいところで君を見たい。その欲望を叶えるスポットを見つけた。砂浜の目の前に彼女を立たせ 言葉を放つ。 「‥‥‥結婚してください!」 脈が早く、汗が止まらない。手足の震えも止まらない。そして君の顔を直視で見えない。でも君なら、僕の‥‥ 「ありがとう‥‥あっくん。でもワタシ あなたと結ばれたらダメなの。」 心に突き刺さった。どうして、どうして。やはり僕は、君を幸せにできないと思わせてしまったのか。心が壊れそうだ。 その間に、彼女は、手首につけた腕時計を何度も見ていた。デートも 出会ったときも。君は、いつもそれを見てるね。涙が溢れてきて止まらない。 「時計じゃなくて、ぼくを見てよ‥」 それが、自分にとっての最後に出た言葉だ。 彼女は、僕の言葉に驚いたのかこちらを振り向いた。そして時計を海に投げ捨てた。砂浜には君と僕。 彼女は、僕の方により耳元で囁いた。 「あなたに会えてよかった。またどこかへ‥‥」 夜が明けて 太陽が自分たちのことを照らした。 彼女を探すと、どこにもいなくなっていた。 どんなに探したって彼女は見つけられなかった。
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