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近所の大きな川の橋に呼び出された。
『ごめん、別れて欲しい。俺の事好きじゃないんだろ。』
言われた瞬間頭が真っ白になった。
大好きだった彼に振られた。力を振り絞って言った。
『ありがとう』
最後のが消え入りそうだった。
我慢できずに彼を通り過ぎて走り出した。
ひたすらに走った。気が付けば、あの橋から遠く離れた河川敷にたっていた。息が切れていた。すぐそこにある、自販機でスポーツ飲料を買った。
“ゴトン”
それを聞いても、自販機から出す気持ちになれずそこに突っ立っていた。しばらくして、屈んで自販機からスポーツ飲料をとる。
スポーツ飲料のペットボトルに、彼との今までの思い出が映し出されたように見えた。
最後に見えたのは、『ありがとう』といった私の姿が見えた。もって言い方があっただろうに。これじゃ別れてくれて感謝してるみたいだ。
不意に笑いが込み上げてきたと思ったら目から熱い涙がこぼれていた。気づけば声をあげて泣いていた。すると、白いハンカチが目に押し付けられた。
『大丈夫?』
少し低い優しい声がした。
『ゔん。ありがとう』
と顔を上げると隣のクラスの人気者男子だった。彼の顔には涙のあとがあった。少し目も赤かった。
『そっちこそ大丈夫?泣いてたみたいだけど。』
気になって聞いてみる。
『彼女に振られちゃって。そんなに私を好きじゃないないでしょって。大好きだったのにさ。』
『私も、彼に好きじゃないだろって言われた。』
また涙が込み上げてきた。彼は、またハンカチで涙を拭いてくれた。そして、こう言った。
『その涙俺に貸しといて。慰めるから。絶対泣かせないから。人に気持ち踏みにじられる辛さお互いに知ってるだろ。』
『ありがとう、じゃあ涙のレンタル代は私の一生の幸せね』
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