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1話
突然だが、私の執事は魔法使いのようだ。
私の名前は橘シア。高校一年生の15歳だ。金髪碧眼なのが特徴だと思っている。
「お嬢様、紅茶を淹れました。どうぞ」
「ありがと、ルカ」
紅茶を淹れてくれたのは執事のルカ。先ほど言った魔法使いの執事だ。
「あ、おいしい。」
「それは良かったです。」
ルカはにこりと笑う。営業スマイルがとても様になっている。
「あ、クッキーがあるんでした。少々お待ちください。」
思い出したように呟き、私に話しかける。そして人差し指を伸ばし…皿に乗ったクッキーを出した。本当に何もない所からクッキーを出している。
「本当にそれどうなってるの?」
何回かわからないほどした質問だが、ルカはにこやかに答える。
「魔法ですよ?」
そして、ルカの体の周りに煙ができ…黒いローブ姿の少年が現れた。
「…お前何回その質問するんだよ…」
面倒くさそうに言っているこの少年、実はルカである。いつも敬語が言えるように細工して変身しているらしい。他にも理由はありそうだが…
黒髪に赤眼な美少年で、腹黒い発言がもったいないと思っている。黙っていれば絶対モテモテなのに…。執事の姿はすでにモテている。
以前聞いたけれど、『好きな人に好きになってもらえばそれでいいんだよ』と答えていた。まあ…同感だけど…
「じゃあ少し出かけてくる。」
そう言って消えた。いわゆる瞬間移動だ。
ちなみに屋敷にはルカの代わりの人形がいる。私は人形の方が真面目に働いているとしか思えない。
(さて…紅茶飲むか。…あ、このクッキー美味しい…。手作りとは思えない…。
やっぱり器用なんだよな…)
「シアーーーーーーーーーーーー!!!!どこにいる!」
「うわっ…隠れなきゃ…」
紅茶のカップを置いて隠れようとしたが…間に合わなかった。
「見つけたぞ、シア!!!!」
バンッと扉の開く音が部屋に響いた。
扉を勢いよく開けて来たのは…大嫌いな私の叔父だった。
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