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(声を聞くだけで隠れようとするとは…我ながら重症ね…)
はぁとため息をついて叔父のいる方向へ向いた。もちろん視界にも入れたくないので叔父の近くにある家具を見ている。叔父はぼんやりとしか見えない。
「シア!!!!いい加減にしろ!!!!」
叔父は怒鳴り散らした。正直言ってうるさいし、不愉快でしかない。
私は沈黙して。諦めて答える。
「…叔父様の雑誌に載るという件でしたら、何度もお断りさせていただいて
います。お帰りください。」
叔父は雑誌の出版社を経営している。実際は椅子に座って部下にすべて任せ、ふんぞり返っているただのおじさんだ。『ニートでないだけまだましだ』と本人は開き直っている。部下の人には迷惑をかけていて、本当に申し訳ない。
その雑誌に私をモデルとして載せようとしている。一度だけ、雑誌に載ったことがある。だがそれは盗撮で得た写真で、犯罪として訴えてもいいくらいのものだった。訴えようとしたが、写真は顔が写っておらず、撮られたことはないものにされた。けれど、執事としてのルカが脅しているおかげでその時だけで済んだ。もうあきらめたと思ったのに…。
叔父と睨み合っていたその時。すぅっと頭の中で音がした。
「…叔父様。質問がございます。」
「…ん?なんだ、ようやくモデルになる気になったか。」
「いいえ。考える前に確かめたいことがございまして…。
…叔父様はなぜそこまでして私にモデルをさせようとするのですか?」
私はゆっくりと聞く。
「それは…シアは日本人なのに金髪の碧眼だから…と…」
叔父は私の体をちらりと見た。視線は上半身の辺りを向いている。
「…なるほど。叔父様は高校生になって間もない女子の体と顔面が目的
なのですね。ならば私よりも適任な女性の方がいらっしゃると思います。
私は写真写りが悪く、プロの方々でも大変だと思います。ですので
どうかお帰りください。」
「ゔっ…!!!!」
叔父は言葉の意味に気づいた後、苦しそうに声を出しながら部屋を出ていった。
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