7 変化

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「綾子さん、今は仕事中ですので」 三田村君が困ったように微笑む。 綾子さんだなんて、下の名前で呼ぶ程、親しい間柄なんだ。 「久しぶりに連絡して来て、会いたいと言ったのは勇人様の方からなのに。私、あの時、勇人様に合わせて時間を作ったのよ」 三田村君の方から会いたいって言ったんだ……。 なんか面白くない。 「今日は勇人様が私に合わせて下さい。ほんの5分でいいですから」 綾子さんが三田村君の腕を掴んだ。 綾子さんは何だか必死に見える。どういう事情がある人なんだろう。 綾子さんのまつ毛の長い大きな目と合った瞬間、お願いしますというように頭を下げられた。 この場は私が引いた方が良さそう。 「三田村君、私、そこのティーラウンジで紅茶飲んでるから。彼女の話を聞いてあげて」 ロビーの脇にティーラウンジがあり、視界に入りやすい場所だった。 「妃奈子さん、しかし」 「大丈夫。あそこなら見えるでしょ?」 「そうですが」 「何かあったら叫ぶから。じゃあ」 三田村君の心配そうな視線を背中に受けて、ティーラウンジに向かった。 カウンター席に腰を下ろして、居場所を教える為、三田村君に手を振る。 三田村君は頷いて、私に視線を向けながら、綾子さんと話し始めた。
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