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ロースト「ホントに行くの?」
ライン「もう決めたもん!長老の許可も取ったし!それに…友達居ないと、しゃみちぃでしょう?」
ロースト「まだ言うか!こいつ!」
ライン「ふふっ!…それにね、帝国に捕まってる仲間を助けたいってのもあるしね?」
ロースト「俺が帝国潰す時に助けるのに。」
ライン「何でも頼るのは良くないの!」
ロースト「左様ですか。」
ライン「?さよう??」
ロースト「いや、そうですかって事!」
さすがに古い言い回しすぎたな、気をつけよう。
エルフの里に別れを告げて、帝国に向かう。
数日後…
ロースト「あれは、なんだ?」
ライン「なんだろう?お城っぽいよ?」
古い城が見えてきた。
ライン「この辺りには街とか何も無かったと思うけど…。」
ロースト「お化けとか出たりして…。」
ライン「…そんなの居ないもん!迷信だよ!」
ロースト「怖いんだ…。」
ライン「怖くないもん!平気だし!いいよ!今日はあの城に泊まろうよ!」
ロースト「…無理しなくても…。」
ライン「無理じゃないもん!!怖くない怖くない!大丈夫大丈夫!……やっぱり…ん、いや、大丈夫!大丈夫?」
ロースト「…いや、落ち着けよ。」
ライン「お城かー!楽しみだなー!」
ロースト「負けず嫌いなとこあるよな。」
ライン「……早く行くよー!せめて、明るい内に行くよー!!」
ロースト「あっ、待てって、やっぱ怖いんじゃねーか!」
かなり古い城だな、あちこち崩れてる。
…何かいるな…
ロースト「…ライン、俺から離れるな。」
ライン「何?急に真面目な顔して。」
ロースト「中に何か居る。」
ライン「…え?嘘でしょ?…本当に…居るの?…お化け…いるの?」
ロースト「いや、お化けじゃないと思う。生き物の反応があるんだ、かなり弱ってるがな。……やっぱ、怖いんだな…。」
ライン「なんだ、お化けじゃないなら平気!」
ロースト「俺は知らない生き物の方が、怖いけどな?」
ライン「ビビりなんだね!」
ロースト「何とでも言え。」
実際、身の危険を感じるのは生き物相手だと俺は思う。お化けとか幽霊を見た事無いからかも知れないけどな。
今も、何かが居るのは分かってるのに、その何かが分からない。敵意があるのか無いのかさえ。
それが、俺は怖い。
俺1人なら思わなかっただろう。
今はラインがいる。
その事が俺を慎重にさせるんだ。
そんな事をラインに言える訳も無く…
ライン「中は真っ暗だね〜、あっ、階段あったよ〜。」
ロースト「いや、だから待てって!離れるなってば!」
好奇心の塊か、お前は。
ラインを追って俺も中に入り、1階の捜索をする。
…ここは、風呂か。おっ?浴槽もあるな!
たまには湯に浸かりたいな。
…風呂を綺麗にして、お湯も入れて…
って何やってんだ俺は?
…捜索を再開するぞ!
何も居ないな、やはり反応がある2階か…
2階に上がり、部屋を調べる。
元は貴族か何かが住んでいたみたいだな。
家族らしき人達が描かれた絵画が飾ってあった。
反応はこの部屋からだな…
ロースト「ライン、後ろに下がってろ。」
ライン「…分かった。」
ラインも気が付いたか、何か居る事に。
勢いよく扉を蹴破る。
ゆっくりと部屋に入ると、
右から何かが飛び掛かってきた!
それを蹴り飛ばす!
??「うっ、うぅぅ、うぅ。」
だいぶ軽かった気がするな、子供か?
とりあえず、近くにあった布で拘束する。
良く見ると、
肩まで伸びた赤い髪、
ボロボロの服で分かりにくいが、
おそらく、ラインと変わらない年頃の美少女。
足を折ってるみたいで、添え木が布切れで巻かれている。
赤い瞳に、
頭に猫耳…
よくよく見ると、暗くて分かりにくいがお尻から尻尾が生えていた…
エルフの次は獣人か…
とりあえず足を治してやる。
??「あ、足が、痛くない?」
ロースト「大丈夫か?さっきは蹴って悪かったな。足は治したから、もう大丈夫なはずだが…まだ動かない方が良い。だいぶ衰弱してるみたいだからな。」
ライン「私はライン!あなたは?」
??「…ベル。」
ロースト「俺は、ロースト。宜しくなベル。」
ベル「…足、ありがとう…。」
ロースト「気にしなくていい。ベルを蹴飛ばしたお詫びだと思ってくれ。
ライン、一階にお風呂があったから、ベルと一緒に行ってくれるか?汚れは吸収して綺麗にしておいたし、お湯も入れておいたから。」
ライン「おふろ?」
ロースト「え〜と、身体の汚れとかを水で流すとこ。その部屋までは行くから、あと頼む。」
ライン「あぁ、うん、分かった!」
2人を風呂に案内してと…
女性同士、裸の付き合いしたら少しは距離縮まるだろう。
ベルはおそらく、誰かに襲われて逃げてきたんだな…目が怯えていた。
ラインのあの性格なら、すぐに打ち解けると思うけど…
とにかく、良かった。ベルじゃなく、帝国の人だったりしたら…
ラインが何するか分からないからな…
長老に聞いたが、
ラインは親を帝国に殺されている。
ラインが小さい頃に、両親と3人で森で狩りをしていたんだか、そこで帝国軍の兵士と出会した。
小さなラインを逃す為に父が前に出て、母がラインを抱きかかえて必死に里に逃げた。里に着くと、母は倒れた。
その背中に数本の矢が刺さっていた…
その後、母は亡くなった。さらに数日後、父は無残な姿で里に戻ってきた。
そんな事があったラインは、帝国を恨んでるだろう。
俺は帝国を潰すつもりだが、敵意の無い人間を殺す気は無い。
帝国の中にも良い奴はいる…かも知れないから。
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