切れなかったミサンガ

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今日は、都立星崎高校の卒業式だ。 つまり、高校三年生先輩の先輩達が卒業する日。 私、如月窓歌の好きな人____小澤拓也先輩も今日でこの学校を卒業する。 拓也先輩。 私が入学式の日に一目惚れした。 その時からアタックしているのだが、一向に振り向いてもらえなかった。 でも、これももう終わりだ。 拓也先輩とは、もう会えなくなる。 拓也先輩が大学に行くのなら同じ大学に進めばまた会える。 だが、拓也先輩はプロのダンサーになるために海外に行ってしまうのだ。 だからもう、会えない。 そっと手首を見やると、ピンク色のミサンガが結ばれている。 これは、拓也先輩とお揃いのものだ。 バレンタインの日に作って渡した。 この前は使ってくれていたからきっと今も切れていなければ使っているはず。 このミサンガが切れたら告白する。 そう決めて作ったミサンガ。 遂に切れることはなかった。 ミサンガが切れれば願いが叶う。 それを知って私はミサンガを作った。 でも。 私のミサンガは切れていない。 だから、きっと____ 私の''拓也先輩と付き合いたい''なんて願いは叶わないんだ。
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