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嘘が本当を凌駕する?
華乃もどきと約束を交わした日ーー俺は高校へ行って、華乃もどきが偽物である証拠をつかもうと、色々な人に聞き込みをした。しかし皆、華乃は、華乃もどきだという。まるで俺だけが頭がおかしくなったみたいな対応をされ、切り離された現実に溺れてしまいそうだった。
昼休みになる頃には、精魂果てて、俺は教室でボーッとしていた。
(華乃もどきが本当の華乃なら、じゃあ俺が知ってるあの華乃は何なんだ?)
頭のなかで華乃の事をぐるぐると考えていると深みにはまりそうだ。
机に突っ伏し、目を閉じる。
いつもなら、昼休みになってすぐに華乃が教室にやって来て、屋上で昼飯を食べようと誘ってくるはずだ。
「屋上に行こうかな……」
机にアゴを乗せた状態で呟く。
「あ、いたいた、正也ー!
ご飯いくよー!」
教室の入り口に、華乃もどきが立っていて手を振っているのが見えた。反対の手にはお弁当を持っている。
「まじかー……」
俺は深いため息をついた。
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