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でも、からかい甲斐がある奴は嫌いじゃない。
只淡々と仕事をやってるだけなら、俺はロボットじゃねーから、普通に死んじまう。それは女と寝るのとは別の楽しみってやつさ。
本当なら、これをセクハラとか言うんだろうけれど、俺のスタンスがずっとこんなんだから、別に上は何も言ってこない。
なんなら、営業成績一位で、二位との差が倍以上掛離れてるとなれば、俺を簡単に手放す筈がないのさ。
その辺は俺も、上の奴等を只の無能とは思ってない訳で....。
本気で嫌なら俺はこの仕事を辞めて、とっくに独立して会社を設立してるだろうし、こんな回り諄い効率の悪い仕事なんか絶対に廃止する。
でも古い奴等は頭が固いのが多いから、一つ否定すれば簡単に頭に血管浮かばせて、動物園のチンパンジーみたいに血相変えて怒り狂うんだよな。
まあ過去に何度か衝突した経験があるから、あの禿げ上司の面思い出したら何だか笑えてきたわ。
「瀬尾さん、知ってます?」
「ん?何が。」
「A社の親会社の四葉グループの令嬢の噂。」
「嗚呼、引き籠り令嬢だろ?」
「なんでも、次のパーティーに参加するらしいですよ。」
「まじか~。興味ね~。」
「今あからさまに流しましたよね!?」
四葉グループって言えば、俺等の会社なんて直ぐに買収出来る程のビッグモンスターじゃねーか。
あそこの会長なんて、遠目で見物した事しかねーけど、マジで何仕出かすか分かったもんじゃない。
前に見かけた時は、合同グループ会社の会合で、粗相を犯した会社の社長を簡単にクビにした挙句、その会社ごと取り壊してたもんな~。
そんな会長の孫娘だろ。一回も表舞台に出たことが無いって周りが噂してたけど、何でまたこんなタイミングで表に出る事になったのか。
弱小会社のいち社員には、雲の上の話さ。もしもこの事務所内に盗聴器でも設置されていて、陰口でも言おうものなら、絶対俺は北の海で魚の餌にされるんだろうな。
「それよか、お前いいのかよ。経理の佐藤ちゃん。」
「んな”!!なんで瀬尾さんが佐藤さんの事を!!」
「中途で入って二か月目。可愛いのなんの~って、男連中が浮足立ってるからよ~。気になって顔見に行っちゃったわ。」
「ちょっと、瀬尾さんは絶対に手を出さないでくださいね!!」
「分かってるよ~だ。」
....あんな見た目だけは一丁前のぶりっ子若女。誰が好き好んで相手するかっつーの。
あゝいうのは、若い者同士がお似合いだ。俺は、お互い素性を探らず清い一夜を所望するのさ。
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