第一章 本意

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御神が転校して来て八日が経過した。 この間、中間テストがあり、妙子は気分が晴れないまま試験に臨んでしまった。 そして今日はその結果が纏めて返って来る日だ。 「おはよう」   亜理紗がいつもと変わりなく登校中の妙子に声を掛けた。 「うっ、うん。おはよう」 「どうしたの、亜理紗?何かここ最近変だよ」 亜理紗は妙子の変化を見抜いていた。 「そっ、そう見える?」 「うん。もしかして、中間テストの結果の事?」 「そっ、そうなのよ。私、今回ヤバいかもー」 「妙子、いつもトップクラスじゃん。少し位成績が落ちたって別にどうって事ないわよ」 「うん、有難う。でも学年三位以内をキープし続けている人に言われてもなー」 「もう、そういう事を言わないで」 「御免、御免」 亜理紗は妙子にいつもの明るさが戻ったように感じた。 「やだ、後五分で遅刻しちゃう。急ごう」 亜理紗が自分の桃色の腕時計を確認すると、時計の針は八時二十五分を指していた。 「うん」 二人は学校へ向かって走り出した。
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