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「これが上手く行ったら私の野望が・・・・・おや、もう終わったのかい?」
気付くとレントが機械を自分の鞄に片付け始めていた。
「良いでしょう。丁度一億円ありました。今日はこれで失礼しますが、最後に何か質問は御座いますでしょうか?」
そう言いながらレントは机に置いている資料を片付け始め、帰る支度を淡々としている。
「では一つ。本当に私はこの計画では何もしなくても良いのだな」
「貴方が私の指示に従う事がこの計画の成功確率を上げる事に繋がります。そして、その私から貴方への指示というのは、当日貴方は何もしないで下さいという事です」
清彦がそのセリフを聞き、目を瞑った。
「果報は寝て待て・・・・・か」
そう一言だけ発すると静かに目を開け、机の上に置いてある殺人計画書をじっと見つめた。
「もう質問がないのならば私はこれで。また、絶対にその殺人計画書の流出等をしないように最善の注意を払って下さい」
レントがそう告げると、ここに来る時には持っていなかった大きなケースと自分の鞄を両手で持ち、高級ソファーから立ち上がった。
「ああ、分かっている。絶対にここから持ち出さない。もう帰って頂いても結構。一応確認しておくが帰る時も来た時と同様そのIDカードを磁気カードリーダーに翳し、同様のパスワードを入力すれば全ての扉のセキュルティーは解除される。では当日は宜しく頼むよ。・・・・・いや、最後にもう一つ訊いても良いかな?」
「何でしょうか?」
「うむ。何故故、君は声を変声器で変え、顔をサングラスやマスクで覆っているのだい?」
レントが暫く間を開け一言。
「・・・・・強いて言うのならば、この殺人計画の成功確率を1%でも上げる為です」
それだけ告げると、プランナーはこの隠れ家から出て行った。清彦が扉の完全に閉まる音を聞き終わると一言。
「上手く行きそうだな」
自分以外誰もいない部屋でそう発すると少し笑みを浮かべながら、すっかり冷めきってしまった緑茶を一気に飲み干した。
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