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ニ体の地蔵が寄り添う様に置かれていた。
ふたりは、無心で拝んだ。
その後、雅博は同じ様にこの道を通り、トレーニングを繰り返したが、二度と少女は現れなかった。
それから半年後。
雅博には付き合っている彼女が居た。
故郷は同じ山梨の甲府、高校の時からの付き合いで、彼女は埼玉の所沢に住んで居る。
凉木芽衣。
彼女は、フィナンシャルアドバイザーを目指して埼玉の大学へ通っている。
目鼻立ちのはっきりした長身美人で、少しばかりクールな雰囲気を漂わせている。
同じ関東圏内ではあるが、上京してから一度もまだ会っていない。
今の時代ならば、携帯電話と言った優れもので、意図も容易く連絡を取れるが、この時代の最先端は家庭電話である。
お互いに学校の寮の電話を通じて会話するしかない。
夏休みは部活動がメインで、お盆休みに帰省するのかも分からない。
付き合っているのかいないのか。
雅博が意を決して芽衣へ連絡を入れたのは、年末年始の冬休みである。
大学の寮へ電話を掛けるわけである。
プライベート電話と違って、長電話は禁物。また、話しの内容も聞き耳を立てている管理人には筒抜けである。
掛ける時間帯も重要な要素で、夜ならば9時。
視聴率の良い連ドラの放映日を外せば相手は電話に出る。
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