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時計をチラッと見るとちょうど6時。
約束の時間である。
その時!
隣の可愛らしい娘の前にひとりの女性が現れた。
四十代の半ば位の品のある落ち着いた女性である。
彼女は、「お母さん。」と言いながら笑顔で駆け寄ると、ふたりは寄り添って地下街へ消えた。
何故、男だと決め付けていたのか?
何故、ほっとしているのか?
そんな事を思って苦笑いしていると、
「お待たせ!」
目の前に、長身の美人女性が立っていた。
雅博は、芽衣を待って居る。
子供の芽衣である。
目の前に居るのは大人の女性。
芽衣は長身ではあるが、目の前の女性は背が高すぎる。それに髪型が全然違う。
「もしかてメイちゃん?」
「そうだよ、野中君」
「背、伸びた?」
芽衣はヒールの高い靴を指差して雅博へ微笑んだ。
雅博は笑顔で頷くと、「行こうか!」
そう言うと西口の五番街へ流れた。
「綺麗になったね。誰かと思ったよ。」
「ありがとう。女は化けるの。それに……いっぱい恋をしているから。」
雅博は、最後の言葉が気になって無言となったが、
「電話貰えて嬉しかった。楽しみだったんだ今日は。」
その言葉で雅博は芽衣へ微笑むと、
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