ハンカチ

13/34
前へ
/34ページ
次へ
時計をチラッと見るとちょうど6時。 約束の時間である。 その時! 隣の可愛らしい娘の前にひとりの女性が現れた。 四十代の半ば位の品のある落ち着いた女性である。 彼女は、「お母さん。」と言いながら笑顔で駆け寄ると、ふたりは寄り添って地下街へ消えた。 何故、男だと決め付けていたのか? 何故、ほっとしているのか? そんな事を思って苦笑いしていると、 「お待たせ!」 目の前に、長身の美人女性が立っていた。 雅博は、芽衣を待って居る。 子供の芽衣である。 目の前に居るのは大人の女性。 芽衣は長身ではあるが、目の前の女性は背が高すぎる。それに髪型が全然違う。 「もしかてメイちゃん?」 「そうだよ、野中君」 「背、伸びた?」 芽衣はヒールの高い靴を指差して雅博へ微笑んだ。 雅博は笑顔で頷くと、「行こうか!」 そう言うと西口の五番街へ流れた。 「綺麗になったね。誰かと思ったよ。」 「ありがとう。女は化けるの。それに……いっぱい恋をしているから。」 雅博は、最後の言葉が気になって無言となったが、 「電話貰えて嬉しかった。楽しみだったんだ今日は。」 その言葉で雅博は芽衣へ微笑むと、
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加