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「何が食べたい?」
雅博は芽衣へ尋ねた。
「そうね、寒いから鍋物が良いかな。」
芽衣は、コートのポケットから手を出すと、両手を擦った。
パブ、居酒屋が連なっている通を抜けると大きな看板に、鍋、ほうとうと書かれた文字が目にはいった。
「此処にしよう。」
雅博はそう言うと、芽衣をエスコートして店の中へ入った。
「いらっしゃい!おふたりさんですか?」
あまりに威勢の良い大きな声で驚いたが、
雅博は軽く頷くと、四人が座れるテーブルへ案内された。
芽衣は座るなりメニューを広げると、
「ほうとう鍋があるね。これにしましょう!」
「僕らが甲州人とは知らないだろうから、じっくりと味見だね。」
雅博はそう言うと、店員を呼んで、ほうとう鍋を注文した。
「寮生活には慣れた?楽しい?」
雅博はそう言うと、運ばれて来たお茶を少し飲んだ。
「寮は団体生活でしよ。決められた時間で行動するのにちょっと初めは抵抗があったけど、ずぼらな私には丁度良いのかもって、最近はそんな風に思うわ。」
芽衣は雅博から視線を外さずに淡々と答えた。
「メイちゃん変わったね。」
「何処が?何が変わったかしら?」
雅博は何も言わずに芽衣に微笑み掛ける。
「とても綺麗だよ。」
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