ハンカチ

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雅博が 目指した企業は、横浜にある大手建設会社の技術者であった。 マンション、スーパー等の建築設計を雅博は担当した。 仕事は面白く、海外出張等も経験した。 付き合っている芽衣も大手銀行へ就職すると、横浜の神奈川区の支店に勤務した。 勤務地がそんなに離れて居ない事で、ふたりは同棲を始めた。 勿論、結婚を前提としたものである。 ある意味で同棲は、この人とこれからずーっと一緒に暮らして行けるのか? いちばん重要な事を見極めるには、必要な期間である。 雅博と芽衣は、お互いを愛していると言った気持ちは変わらない事を確信した。 同棲を始めて二年後の春に雅博と芽衣は結婚した。 そして、その一年後には長女が誕生した。 芽衣は、仕事を辞めて育児へと専念する。 長女の名前は、 梨沙 (りさ) 野中梨沙。 雅博が命名した。 故郷、山梨県の梨。その通り山をイメージ出来る。 山と来れば海である。海をイメージした沙。 雅博は、梨沙を中心に、ごく普通の仲の良い幸せな家庭を築いた。 順風満帆な日々…… しかし、梨沙が小学生になる前年度の冬に、これまでの暮らしは破局した。
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