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こうして6年の歳月が流れた。
梨沙は、雅博を十分に安心させる賢い娘に育ってくれていた。
雅博も37歳。部下12名を持つ管理職に従事していた。
芽衣と別れて6年……
雅博に新しい恋が芽生えていた。
それは、雅博の課へ新しく配属された新入社員。
小内佳陽 22歳である。
雅博とは、ひとまわり以上の年の差である。
きっかけは、佳陽が入社して半年後。
佳陽の仕事のミスで、得意先へ迷惑を掛けてしまった事の謝罪を、雅博は彼女を伴って相手先へ出向いた。
失敗とは、見積り額の計算ミスである。
材料の発注や工事……すべてがやり直しである。
雅博は、到着すると早速、今回の不具合の原因究明と再発防止策を立案した文章を相手方へ配り説明を始めた。
君の会社では、計算書類を検証するプロセスがないのかね!?
こんな嫌味は言われたが、幸いにも部品の加工までは行われていなかったので事無きで済んだ。
帰りの車のなかで佳陽は何度も雅博へ詫びた。
「もう済んだ事だから気にするな佳陽君。直属上司の係長佐藤君ではなくて、君を連れ出したのは、ひとつの計算ミスがこれだけの大事となる現実……それを教えたかっただけだ。」
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