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「野中選手、第3コーナーを回って残り後100メートル、最後の力を振り絞って今ゴールイン。」
寮母の信子の冷やかしに、雅博は頭をかいて苦笑いをして椅子に座った。
「おばさん、僕はマラソンランナーではないからね。ところで今夜は何を食べさせてくれるの?」
「今日はあなたの大好きな鶏肉をふんだんに使って料理したからね。」
「えー!それだけはご勘弁願います。」雅博は鶏肉が大の苦手である。
「大丈夫、すり身にしてお味噌汁に隠してあるからね。良質なタンパク質はあなたには必要なんだからね!倒れられでもしたらお里のご両親に申し訳ないでしょう。」
信子はそう言うと、山盛りの野菜サラダと味噌汁を運んでトレイを置いた。
「ありがとうおばさん、感謝しています。」
雅博は味噌汁をすすると、「幸せ!」
そう言うと、信子に手を合わせた。
「メインはちょっと辛くしたキムチ丼だからね、いっぱい体脂肪を燃やすんだよ!でも食後のビールは控えなさい。」
信子は寮生ひとりひとりの好き嫌いから郷土料理までをデータにして、それぞれの種目に応じた献立を考えている。
寮生は大会の結果は真っ先に信子へ報告した。
肝っ玉母さん的で、誰からも慕われている。
雅博は夕食を終えると部屋に戻った。
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