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「幽霊・・・そうかもな。」
「おいおい、そっち系は苦手なんだよ。」
山岸は、柿の種を皿にばら蒔くと、雅博の前へ置いた。
「聞いてくれ山岸。」
雅博は、先程体験したばかりの少女の話を語り始めた。
雅博の話を聞いた山岸は、しばらく腕組みをして考えていたが、思いもよらない事を言った。
「その話は聞いた事がある。」
子供の悪戯・・・そんな言葉をイメージしていただけに、ちよっと嬉しくなった。
山岸は地元である。
「子供の頃にうちの爺さんから聞いた話しなんだが、この大学の敷地は丘陵地、戦時中には、幾つもの地下豪が随分と掘られたそうだ。
勿論、戦後は埋め立てられたそうだが、大平洋戦争の末期、ここには海軍の指令部があって高射砲が備え付けられた。」
雅博もビールの栓を抜くと喉へ流した。
「そんなもの据付けたのだから米軍のターゲットになるのは当たり前、毎日の様に爆撃を受けたそうだ。
さすがに、この辺に住む住民は地下豪の安全な場所へ避難させたそうだが悲劇が起きた。」
雅博は、柿の種を口に放り投げるのをやめて山岸の顔をまじまじと見て、
「悲劇って!何があったんだ?」
山岸は、冷蔵庫から缶ビールを取り出すと、二本目の蓋を抜いてちょっとだけ口へ含んで飲むと、話し出した。
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