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遠慮がちに伸びてくる舌を晴義は迎え入れる。唾液を絡め、舌をこすり合わせ、触れ方を教えるようにキスを深めていった。
熱く湿った吐息を交わしながら下半身にエリの興奮を感じ、小さく名前を呼ばれる。何を求められているのかは分かっている。自分も欲しい。だけどなんの準備もしていない。
何かないか横目で部屋を見渡してみると、イーゼルの脚元にある小さな瓶に気づいた。あ、と思った時、顔を背けたことを叱るようにエリが首筋に歯を立てた。
「ひッ……っ」
不意打ちに肩が跳ね、変な声がこぼれた。噛まれたところをすかさず濡れた舌で舐められ、その甘い刺激に鳥肌が立つ。
「ぁっ……エリ……っ」
弱いところへの執拗な口づけに体の熱を煽られて身悶えた。その隙にシャツをたくし上げられる。
「待っ……」
「見せて。ハルの全部」
物欲しそうに見つめられ、不意にあのヌード絵が頭をよぎった。挑発的に体を見せつけるスケッチ。思い出すだけで恥ずかしくなってためらったが、全部を約束したばかりだ。
「……がっかり、するなよ」
なるべく平静を装ったつもりだったが、シャツを脱いで、下着ごとズボンを脱がされると火がついたように顔が熱くなった。
午後の光とエリの熱っぽい視線にさらされ、目を逸らさずにはいられなかった。形を変えはじめた中心を膝を立てて隠したいのに、内腿に手を置かれて動けない。
ふっとエリの笑い声が聞こえた。
「ハル、赤くなってかわいい」
その言葉でますます赤くなった気がする。
「わ、悪かったな、あんな余裕ぶった顔じゃなくて」
「ううん。こっちのほうが断然いい。それに想像以上に綺麗」
エリは嬉しそうに目を細め、鎖骨の中央にキスを落とした。真っ直ぐ胸を下りていく唇。肩の丸みを撫で、腕の筋を辿る指先。まるでデッサンを描いているかのように体の輪郭をなぞられ、身を震わせた。
「あっ……」
手が脇腹から腰に滑り、中心に指を絡める。そこの形まで確かめるようにゆっくりと上下に動いた。
「ん……ぁ」
「気持ちいい?」
気持ちいい。どんな手慣れた愛撫よりもエリらしいこの独特の触れ方に感じ入った。
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