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どうやら着いたようで、車が停止する。あたりには特に目立ったものはない。だけど、何が起きるかわからない不安が恐怖を助長させる。
もしかして、ここから獣道を歩くなんて言わないよな。頭のおかしいコイツのことだから、可能性はある。
「じゃ、コレ付けて」
はい、と渡されたのはアイマスク。目隠しでもしろというのか。正気か?
「いや、なんで?」
「だから、驚かせたいから」
「はぁ? どういうこと、っておい!」
夏央によって強引にアイマスクが装着されてしまった。
そのまま手を引かれて歩かされる。螺旋階段まで登らされて、どこかの建物に入っているのだろうか。
頭が勝手に古びた建物を想像してしまう。この階段、老朽化とかで急に床が抜けたりしないよな?
怖くてどうしようもなくて、俺は夏央の体にしがみついた。
これくらい許してくれ。どうせコイツの感触を覚える余裕なんてないのだから。
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